1. 課税段階の国民による選択
公会計に複式簿記を導入すべしとの議論が始まって、相当時間が経過する。
しかしながら、遅々として進展しない状態が続いていた。
各地方公共団体の資産・債務の実態把握、
管理体制状況の総点検の取組(平成17 年)を起点とし、その翌年に政府は
地方公共団体に対し、企業会計の慣行を参考とした貸借対照表
その他の財務書類の整備に関して協力を行うとした。
そして、今年の骨太の方針(平成25 年6 月14 日閣議決定)の中で、
初めて企業会計原則を前提とした地方公会計の整備、
すなわち公会計の複式簿記化が明示された。
以下、
「経済財政運営と改革の基本方針~脱デフレ・経済再生~」の中の
「(3)地方行財政制度の再構築に向けて」の重点的取組の関係する
部分を抜粋する。
【地方における公共サービスの「可視化」の推進】
企業会計原則による公会計は、経営改革を進める上での基礎インフラであり、
その導入を促進し、自治体財政の更なる「可視化」を推進する。
- 地域レベルの身近なデータの利活用を促すとともに、自治体クラウドの
取組を加速させ、地方自治体のオープンガバメント化を進める。
- ストックも含めた財務情報の透明化を進め、
企業会計原則を前提とした地方公会計の整備を促進する。
以上がその抜粋であるが、なぜ公会計に複式簿記を前提とした
企業会計方式が必要なのか?
役人や財政学者と議論しても中々並行線のままで、会計の立場からの説明では
理解が進まないものの、やっとここまでたどり着いたという感じである。
予算の持つ法規範性ゆえに、逆に様々な問題点が内在し、
政府機能と財政の複雑化とも相まって予算準拠主義の矛盾点やら特別会計の
問題点、出納整理期間を利用した粉飾決算の問題等が顕在化し、
マスコミを賑わすことになっている。
単式簿記による予算準拠主義の弊害、設備更新問題への対応をするためには、
公会計へ複式簿記を導入する必要がある。