1. 課税段階の国民による選択
平成25 年10 月1 日に安倍首相が来年平成26 年4 月1 日からの
消費税増税を決定しました。
消費税はフランスの三大発明の一つといわれていますが、
20 世紀の後半に導入されたばかりの新しい課税方法です。
もちろん、誰しも税金の負担は少ない方がいいでしょう。
しかし、一定の財政支出を賄う収入をカバーするためには一定の税収入が必要です。
資産として永久に蓄えられる部分を除いて、稼得された所得は長期的には
いつか消費されるとの考えに立てば、所得を稼得した段階で課税するのか、
あるいは消費した段階で課税するのかの国民の選択であるといえます。
英国サッチャー元首相は
「われわれが汗水たらして働いた結果
得られる所得に課税することは、勤労を罰することだ。
それよりも、個人が選択的に消費をする、
そこに課税をする方がずっと公平ではないか」と言っています。
また、「個人が社会に貢献したときに得られる労働の対価としての所得に
課税するよりも、彼らが社会より取り出し消費する時に課税するほうが公平であ
る。」
とも言われています。
2. 課税方法の変化と課税負担の世代分担
課税方法は、社会や経済環境により変化します。
古くは人頭税といった簡便な課税方法であったものが、租庸調、賦役、地租、
年貢等といった課税方法を経て、現在の所得を基準とする課税方法になってきまし
た。
しかし、所得課税の前提になっているのは複式簿記による所得の正確な計算です。
クロヨン・トーゴーサンという言葉や白色申告に対する推計課税があるように、
すべての所得が正確に把握されているとは言い難い現状にあるように思えます。
逆進性の問題はありますが、勤労意欲および公平性の観点からも、
消費した段階で課税する消費課税へのシフトは不可欠であると思われます。
また、何よりも減少していく将来の世代の所得負担に頼るのでなく、
多額の貯蓄資産を持っている現在世代の消費による負担を中心にすることで
日本の財政状況を改善していくことが、
現在日本にとって世界から期待されていることと考えます。