経理担当者の使い込み、営業マンによる売掛金の横領、購買課長による
取引先との共謀、子会社取締役による不正など、大企業にとどまらず
中小・中堅企業においても役員・従業員の不正事件が多発しています。
企業経営者は「うちに限って不正は起きない」と願っていますが、
同時に、このような不正事例を見ると、当社にも、「不正(又は不祥事)」を
未然に防ぐため、何らかの方策は必要ではとも感じています。
不正発生の要因は、多い順から、①業務ルールの未遵守、②特定個人への業務の集
中、
③定期的な人事異動の未実施、④不十分な内部監査機能、
⑤業務ルールの未整備といわれております。(日本経済新聞H24.10.26)
これら不正を未然に防ぐためには、内部監査体制の構築・強化があげられますが、
上場企業を中心に整備されている「内部通報制度」を、中堅企業にも導入することを
検討しては如何でしょうか。
内部通報制度とは、企業において、法令違反や不正行為などの
コンプライアンス違反の発生またはその恐れのある状況を知った者が、
そのような状況に適切に対応できる窓口(通報受理窓口)に
直接通報することができる仕組みのことです。
内部通報制度は、通報対象事実を調査し、早期に不正行為の是正や
適切な対応策をとり、企業のリスク管理と法令遵守を図る制度といえます。
また、内部通報制度を導入することで役員・幹部従業員の「襟を正す」という
牽制効果も期待できます。
次に、内部通報制度導入のポイントを列挙いたします。ご参考になさってください。
① 通報者の保護を中心にした規定を作ること。
② 匿名での通報を認め、通報者の秘密保持に務めること。
③ 法律事務所など社外の信頼できる機関に通報窓口を設けること。
④ 内部通報による監査を実施する時は、不正を指摘された部署以外の部署も
同時に調査(ダミー調査)して、通報者の存在に気づかせないようにすること。
⑤ 通報者の範囲を取引先などにも拡げること。
⑥ 通報時間を、勤務時間外にも設けること。
⑦ 通報者に、一切、不利益を課さないことを内外に公表すること。
⑧ 通報を受けたときは、監査専門の監査部が独立した監査をする組織にする。