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金融施策の使い方

今なお中小企業の経営者の置かれた環境は厳しいものがあります。もし窮地にある場合でも経営者としてやれることはまだあるはずです。

200911月末に「中小企業金融円滑化法」が成立し、124日から施行され、2011331日までの時限立法となっています。立法趣旨には、中小企業に対する円滑な資金供給がなされていなかったことがあります。そこで、本法では1)金融機関の努力義務、2)金融機関自らの取り組み、3)行政上の対応、4)支援措置などが定められています。そして、これらの実効性確保のために、金融検査マニュアル・監督指針も改定されています。そこでは、1)貸出条件緩和債権の取扱いの見直し、2)金融機関のコンサルティング機能の重点的な検証が定められています。

 当該施策に基づいて貸出条件が緩和されると、中小企業の借入返済負担が減り、財務キャッシュフローが好転します。当然、貸出条件の緩和ではなく、景気対応緊急保証制度などにより融資を受けることでも、財務キャッシュフローの流れは良くなります。しかし、ここで一息ついて安心している暇はありません。このような施策に基づき、財務キャッシュフローを好転させている間に、営業キャッシュフローを確保することがこの施策の最大の使い方となります。資金繰りに一旦余裕ができている期間内に経営に集中し、建て直しに経営者の全力を注ぎこむことが肝要となります。

上記マニュアルの改定により、経営改善計画策定までの猶予期間が一年となったことで、ある程度の余裕ができたと考えることは時間を無駄にしていることになります。その短い時間を有効に使い実行可能な改善策を立案する必要があります。改善のためには、営業コストの節減、売掛債権と買掛債務のバランス、棚卸資産圧縮、設備投資計画の見直し、遊休資産の売却、粗利益率改善など財務的なリストラとともに事業的な観点からのリストラ策を次々と着実に実行していくことが必要です。企業は、金融施策に頼るだけでなく財務会計の最低限の理解や予実管理の仕組みを導入し、進捗に応じた素早い対応をとることが要請されます。