資金繰り改善のため銀行から借入れている融資について借り換えや返済額の減額、返済猶予等融資条件の変更をお願いすることがあると思いますが、借り手を支援するために「金利の引下げ」「金利元本の支払猶予」「返済期限の延期」「債権放棄」等により貸出条件を変更するとその貸出金は原則不良債権となるため、銀行はこの申出には基本的に応じていませんでした。しかし、このような銀行の対応は中小企業に対し適切ではないということで、金融庁検査局では「中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識」として中小企業金融検査マニュアルの事例を解説した小冊子「知ってナットク! 中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識 〔事例集〕」を発行しています。その中に次のような事例を挙げています。これらの事例を参考にして今後の資金調達に役立ててください。
〔貸出条件の変更が不良債権にならない事例〕
1:信用リスクに見合った金利が確保されている場合は「借り手に有利な条件変更」になりません。在庫処分等により返済財源が確保されていれば「信用リスクに見合った金利」が低くなるため、条件変更をしても不良債権にはなりません(P18)
2:信用保証協会等の保証や担保により融資が保全されている場合には、その分信用リスクが低くなっていることから、条件変更が行いやすくなっています。(P19)
3:代表者等が企業を支援する意思(資産提供の意思等)がある場合には、代表者の預金や不動産等の財産も企業の返済能力に加えて判断は行われますので、条件変更が行いやすくなります。(P20)
4:条件変更を行った時点で不良債権に該当している場合であっても、借り手の経営改善が進むことにより信用リスクが低下し、貸出金利が「信用リスクに見合った金利」を上回るようになれば不良債権にはならないことがあります。(P21)
5:経営改善計画を策定し(経営改善の期間が原則5年以内、進捗状況が良好な場合は10年まで)、かつ、経営改善計画の実現可能性が高い場合は条件変更を行っても不良債権にはなりません。(P22)
民主党政権の下で返済猶予法案(中小企業金融円滑化法案)が成立しましたので、融資に対する条件変更は一層し易くなると思われます。銀行とよく相談してください。もし、金融庁に対するご意見やご要望があれば「金融サービス利用者相談室」や「金融円滑化ホットライン」等があります。ホームページ等で確認してください。