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経営戦略

「戦略とは何か」と問われると、答えに窮する方が多いと思います。いまいち定義が明確ではない戦略ですが、ここでは言葉の起源にさかのぼってその意味をみてみましょう。英語で戦略にあたる単語、strategy2500年ほど前に古代ギリシャ語から派生したと言われています。しかし、戦略が独自の概念として生まれるのは歴史をはるかに下った18世紀から19世紀の初頭のことです。プロイセンを代表して自らナポレオンと戦い、軍事戦略の大家と呼ばれるクラウゼヴィッツが、交戦における軍隊の使い方を戦術と呼び、戦争目的の遂行に向けた個別の交戦の使い方を戦略と呼んで、両者をはじめて明示的に区別しました。時代が下ることにより、局所的な武力衝突に勝つことよりも、継続性を帯びる戦争の中で上位の目的を満たすことが関心の焦点として浮上したのです。

経営の場合も、軍事の場合と事情はさして変わりません。経営戦略の目的は複雑性、継続性を乗り越え、長期的視点から最大の収益を確保することにあるといえるでしょう。たとえ、競争相手を撤退に追い込んでも、自社が財務的に疲弊しては本末転倒というわけです。では、高水準の長期収益を上げることが経営戦略の目的というのならば、どうすればその目的を果たすことができるのでしょうか。

 多くの学者、そして経営者がこの難問に立ち向かってきました。詳細は割愛いたしますが経済学のアプローチを用いれば、「差別化」がその答えとなります。合理的に経営を行うことだけを考えていては、没個性を免れません。差別化を考えればどこかに非合理の要素がないことには、独走につながらないのです。ただし、本当に非合理ではうまくいくはずがありません。ということは、世の人々が「理」と思い込んでいる通念や慣行に潜むうそを見破ることこそ、戦略の第一歩ではないでしょうか。

 戦略はどこに存在するのでしょうか。答えは経営者の頭の中です。事業全体が見渡せるのは経営者をおいて他にありませんから、必然的に世の中に潜むうそを見破れるのも経営者に限られます。経営の現場では、次々と想定が崩れていき、思わぬ方向から、そしてありとあらゆる方向からタマが飛んできます。

  ・稼動したばかりの最新鋭の機械が壊れた

  ・昼食を共にした他社のトップから提携の可能性を打診された

  ・競合から驚きの新製品が発売された

  ・新規借入の利率が思ったより低く収まった

  ・期待の星が会社を辞めた

  ・得意先から品質不良のクレームが来た

現実は、こういうタマの連続です。予想外の新しい展開にリアルタイムでどう対処するのか、それが結果として戦略になっていきます。経営者は一見したところ何のつながりもない幾多の案件に判断を下していきますが、判断自体には何らかの傾向が表れます。その判断の連続が戦略となり、結果として他社との「差別化」を創っていくのです。