今回の法改正により、中小企業の事業再生に関して、財務状況が悪化している中小企業が収益性のある事業を他の事業者に承継する「第二会社方式」により抜本的な債務処理を行う際に、許認可承継などの特例が活用できる「中小企業承継事業再生計画」の認定制度を創設した。
1 第二会社方式の概要
(1) 第二会社方式とは
「第二会社方式」とは、ある企業において、収益性のある事業部門を会社分割若しくは事業譲渡により他の事業者(第二会社)に切り出して事業の継続を図るとともに、負債・赤字部門を残した旧会社を破産手続等により清算する手法である。
(2) 第二会社方式の利用実態
実際、協議会において策定を支援した債権放棄による再生計画のうち、第二会社方式による計画の割合は、平成18年度から平成20年度までの3ヵ年で着実に増加しており、平成20年度には、第二会社方式が債権放棄による案件の約7割を占めるに至っている。このことからも、中小企業の抜本的な債務処理を図る再生手法として、第二会社方式が活用されていると考えられる。
(3) 中小企業承継事業再生計画の認定による支援措置
しかし、抜本的な債務処理を図る第二会社方式にも、以下の点が課題であると考えられる。これらの課題に対する支援として、今回は、それぞれの課題の解決を図るため、「中小企業承継事業再生計画」の認定制度を創設し、以下の支援措置を講ずることとした。
課題1 第二会社における許認可等の再取得の必要性
事業の実施に許認可を必要とする場合、事業を承継した第二会社は同一の事業であるにも関わらず、改めて許認可等を申請する必要がある。結果、審査に時間がかかり、事業を承継しているにもかかわらず、営業が開始できず事業価値が毀損するおそれがある。また、第二会社が必ず許認可等を取得できる予見性がないため、スポンサーが支援に躊躇するため、スポンサー探しに困難を伴うという問題もある。
対応1 事業に係る許認可等の特例の設置
上記課題に対応するため、認定中小企業承継事業再生計画にしたがって、第二会社が事業を承継した場合には、当該第二会社が旧会社の許認可等を承継できる特例措置を設けた。この支援措置により、事業の承継後直ちに営業が開始できることとなるとともに、第二会社が計画段階で許認可等が得られることが確実となるため、スポンサー等の協力が得られやすくなる。また、承継事業再生計画の申請と許認可承継の窓口が一本化されることにより、中小企業にとって手続が簡素化されるというメリットが生まれる。