創業して間もないベンチャー企業に対する個人投資家の出資額を所得控除できるエンジェル税制が平成20年度税制改正において新たに追加導入されました。今回は、経済産業省の担当部署で強力に推進しているこのエンジェル税制を概観してみたいと思います。
1.税制の概略 エンジェル税制については、投資額を他の株式譲渡益から控除できる制度や、出資後に譲渡損失が発生した際に株式譲渡益からの3年間の繰越控除を可能とする制度が従前からありましたが、平成20年度の改正で思い切った拡充が行われました。具体的には、設立3年目までの一定の要件を充たす株式会社(ベンチャー企業)に対して出資した個人投資家(エンジェル)において、その出資額について1,000万円を限度として所得税の寄付金控除が適用できることになりました。寄付金控除ですから、その年の合計出資額から5,000円を差し引いた額を総所得金額等から控除することが可能です。ただし控除額の上限は、総所得金額の40%となります。
2.対象となるベンチャー企業 ところでこのエンジェル税制の対象となるベンチャー企業とは、設立から3年目までの株式会社で、中小企業新事業活動促進法により経済産業大臣の確認を受けた特定新規中小企業者です。ただし、設立2,3年目の特定新規中小企業者にあっては、設立以来の営業キャッシュフローが赤字であることが要件となります。
3.留意点 平成20年度の税制改正で寄付金控除の追加適用が可能となったことにより、幅広い方々にエンジェル税制を利用する機会が増えたこととなります。
なおエンジェル税制に関するホームページが準備されておりますので最後に示しておきます。
詳しい内容をチェックしたい場合は是非インターネット上で確認ください。http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/