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取引相場のない株式の評価に係る財産評価基本通達の改正
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平成20314日に財産評価基本通達が改正され、平成2011日に遡って適用されています。今回は、取引相場のない株式の評価について重要な改正が含まれています。

 

1)純資産価額計算上の営業権評価について、改正前は、課税所得に役員報酬や支払利息等を調整した利益金額から総資産に基準年利率を乗じた金額を控除して超過利益金額を算定し、これに10年の複利年金現価率を乗じて営業権が計算されていました。しかし、基準年利率は国債の利回りを基に決められるため、近年の低金利を反映し、平均利益から控除される金額が低く計算され、かなりのケースで営業権が認識されていました。

今回の通達改正により、総資産に乗ずる率が、全国企業の平均利益率に改められ、改正時点での適用料率は1.5%(平成1912月)から5%へ引上げられました。これにより超過利益金額に該当のない場合が増え、営業権の認識が不要となるケースが増えます。

 

2)類似業種比準価額は、公表類似株価×比準割合×会社規模に応じた斟酌率で計算されます。このうちの比準割合は、(1株当たり配当+1株当たり利益×3倍+1株当たり純資産)÷5で計算されますが、改正前の通達では、1株当たり利益がマイナスの場合には、計算上の分母が5ではなく3とされていました。この場合、1株当たり利益が、若干プラスの場合のほうがマイナスの場合よりも株価が低く計算されるケースがあり、課税の公平の観点から問題があるとされてきました。

今回の通達改正により、1株当たり利益がマイナスの場合でも分母を5として計算することとなりました。これにより計算上の弊害が是正され、利益がマイナスの場合の比準割合は従来よりも低く計算されることになるため、納税者にとっては有利な改正といえます。