このところ、個人投資家の間で、新興市場への関心が高まっていますが、「グリーンシート制度」を知っている人は、まだ少ないのではないでしょうか。投資家サイドの視点ではなく、ここでは指定銘柄になることのメリットについて、少し触れてみたいと思います。
「グリーンシート制度」とは、非上場企業の株式を売買するために、日本証券業協会が、平成9年7月から開始した制度です。起業活動の活性化やベンチャー企業の育成、また既存企業の再生・再編を促すさまざまな取組の一環として、非上場企業が資金調達する場として運用されています。平成19年1月16日現在、指定銘柄は88社です。証券取引所市場に上場するためには、種々な基準をクリアしなければなりませんが、「グリーンシート銘柄」になるための発行会社の条件は、投資判断の材料となる一定レベル以上のディスクロージャー(企業情報開示)を行えることです。
したがって、設立間もない企業や上場基準までにいたらない企業が、金融機関からの間接融資だけでなく、株式の発行等の直接金融によって資金調達が可能になります。一定レベル以上になるには、法的・制度的に義務付けられている企業情報が開示され、財務諸表(または計算書類等)の適正性(または適法性)を担保するため、公認会計士または監査法人による会計監査を受け、その監査報告書において適正(または適法)意見が表明されていなくてはなりません。
グリーンシート銘柄に指定されると、証券会社が投資勧誘できるようになるので、株式に流動性が付与され、不特定の投資家から直接投資を受けられるとともに、既存の株主にとっては換金性が生まれます。銘柄指定される過程で、会計監査や証券会社の審査を受けるため、金融機関の与信が高まり、今までより低利で融資が受けられるようになります。
さらに、株式上場を目指す企業にとっては、上場企業に求められる情報開示のノウハウが蓄積し、内部管理体制等も整備してくるので、上場への準備段階として活用することができます。
(グリーンシートURL:http://www.jsda.or.jp/html/greensheet/index.html)